ガイド
ヘルシンキ抹茶カフェガイド決定版
フィンランドは一人当たりのコーヒー消費量が世界1位(年間約12kg)の国で、ヘルシンキはコーヒーの街です。カフェやロースタリーは至るところに点在していますし、スーパーマーケットでもテイクアウトしてすぐ飲めるフィルターコーヒーが販売されています。街中で周囲を観察すれば、コーヒーカップ片手に道を急ぐ人を簡単に見つけられるでしょう。けれどここ3年ほど、少し空気が変わってきました。大手カフェチェーンが「なんだか健康そうなカフェラテの代用品」として抹茶ラテを出すのではなく、抹茶に特化したカフェが登場したのです。昨今、世界中で抹茶の需要が増加したことに伴い、日本国内の生産・供給が追いつかず値段も高騰していることが報道されていますが、フィンランドも「抹茶の需要が急増した国」で間違いないでしょう。コーヒーに比べるとまだ小さなシーンではありますが、人口65万人の北欧の首都にしては驚くほど層が厚くなっています。
このガイドを書いたのは、がっかり抹茶に出会うことに疲れたからです。
フィンランドに住む日本人として、日本の味が恋しくなることは多々あります。私の場合、叔母が表千家茶道の師範であることもあり、抹茶はそのひとつです。ヘルシンキのカフェで濃茶と落雁をいただくことは難しいですが、抹茶ラテはどこでも気軽に手に入るようになりました。それでも色が薄かったり、妙に甘かったり、ただ緑であるだけの飲み物に当たることがあります。
ここ2年の間、メニューに抹茶ラテとあるお店をたくさん回りました。各店でレギュラーミルクのホットとアイスの抹茶ラテを注文し、メモを取り続けて、最終的に残ったのが5軒です。専門の抹茶カフェもあれば、一般的なカフェだけれど抹茶がきちんとしているカフェもあります。共通しているのは、抹茶を「ただの流行り物」にしない姿勢です。
順番はあくまで個人的な好みで、味、雰囲気、最後にアクセスのしやすさで判断しています。
早見表
| # | 店名 | エリア | ひとこと |
|---|---|---|---|
| 1 | TeeMaa teehuone | カンッピ | お茶専門のティーハウス兼ショップ。多様な茶葉と茶器も販売。 |
| 2 | Matcha Crew | カンッピ | ヘルシンキの抹茶シーンを牽引する抹茶専門カフェ。 |
| 3 | Matcha Life | カンッピ | 古き良き抹茶専門の、新しいお茶屋さん。 |
| 4 | Cafe Tampopo | カンッピ | 日本人オーナーが運営する、正真正銘の日本カフェ。 |
| 5 | Andante | プナヴオリ | こだわりのスペシャルティコーヒーカフェが提供する抹茶ラテ。 |
#1TeeMaa teehuone
TeeMaaは、カンッピメトロ駅から徒歩6分、Vanha kirkkopuisto(ヴァンハ・キルッコプイスト、旧教会公園)の近くにあるお茶専門店です。店内は半分がカフェ、半分が販売スペースとなっており、中国産を中心とした茶葉や、地元フィンランドで作られた茶器を購入することができます。
このティーハウスを立ち上げたのは、黒茶の産地で育ったPengさんと、オウル大学で中国の伝統文化を学ぶ間にお茶愛に目覚めたXinyuanさんです。フィンランドへの留学経験があり、茶芸学校でお茶を学んだ本格派の2人がヘルシンキに作った、お茶の香りに満ちたカフェは、今年で13周年を迎えました。
ここまで読むと「中国茶カフェなのでは?」と思うかもしれませんが、TeeMaaでは煎茶や和紅茶など多様な日本茶も扱っています。カフェでは抹茶ラテだけでなく、抹茶そのものをいただくこともできます。抹茶スイーツも充実しているので、抹茶づくしを楽しめます。
インテリアはYatofu Creativesが手がけ、2022年のDezeen Awardsでレストラン・バー内装部門のロングリストに選出されました。座っているだけで心地よい空間で、ポットで注文すればお湯を足すこともできるので、ついつい長居したくなります。
#2Matcha Crew

Matcha Crewは2023年、ヘルシンキで最初の抹茶専門カフェとしてオープンしました。鮮やかなグリーンと、インフルエンサーを多用したマーケティングで若者の支持を集め、今ではヘルシンキ市内に3店舗、チェコとスペインにも展開する国際チェーンに育っています。名実共に、ヘルシンキの抹茶シーンの牽引役といえるでしょう。メニューの軸は、多様な抹茶ドリンクと抹茶スイーツです。ほうじ茶メニューもありますが、コーヒーはありません。
使用する抹茶は日本産で、注文が入ってから目の前で点ててくれます。カフェメニューの他にも、茶筅、茶碗、家庭用抹茶パウダーなどを扱っています。
夏には抹茶ソフトクリームも登場します。ヘルシンキで抹茶ソフトを出す店は、私はここしか知りません。カンッピメトロ駅のそばなので、アクセスも容易です。
#3Matcha Life
Matcha Lifeは、ヘルシンキで最も「お茶屋さん」らしいつくりのカフェです。2025年末、ホテル・トルニの横にオープンしました。店内は6人がけのテーブルとカウンター席がひとつずつ、店の外にはベンチが置かれています。
この店ならではなのが、点て方です。抹茶を点てるとき、粉を茶杓ですくい、お湯を鉄釜から柄杓で汲んでくれます。さらに、ヘルシンキの他店では見かけない抹茶ジェラートもあり、濃さをマイルドとストロングから選べます。
店内はさほど広くないので、グループで話し込んで長居する店ではありません。けれど、買い物の途中にほっと一息つくには、うってつけです。
#4Cafe Tampopo
Anders HusaCafe Tampopoは、オリオン映画館の隣にある小さな日本カフェで、同オーナーが営むSake Bar & Izakayaの姉妹店です。
看板メニューは日本式のサンドイッチ。たまごサンド、カツサンド、フルーツサンドといった定番から、ヘルシンキの他店のシェフとコラボした限定サンドまで、どれも丁寧に作られています。ここでは、「抹茶が薄くて、ただのホットミルクみたいだったらどうしよう」と身構えながら抹茶ラテを頼む必要はありません。時にはかわいいラテアートを添えてくれることも。暖かい季節にはストロベリー抹茶のアイスラテも登場します。
窓際の畳の席で抹茶ラテとサンドをいただいていると、ここがフィンランドであることを一瞬忘れてしまいます。夏場はテラスも出て席数が増えますが、それ以外の時季は満席で入れないこともある人気店です。
#5Andante
Andanteは、プナヴオリの真ん中にあるスペシャルティコーヒーカフェです。Helsinki Coffee Week 2025ではフィンランド2位のカフェに選ばれました。
ここはコーヒーが主役のお店で、ヨーロッパとフィンランドのマイクロロースターをローテーションし、ハンドドリップのコーヒーやフラットホワイトを丁寧に淹れています。けれど抹茶ラテも負けていません。マリメッコの持ち手のないマグで供される、美しいラテアートの抹茶ラテは、飲む前から目でも楽しませてくれます。Andanteグッズのデザインのひとつが抹茶ラテなのも、人気の証でしょう。
バスクチーズケーキやスコーンといったフードメニューも見逃せません。秋にはモンブラン、夏にはかき氷といった季節限定のスイーツが登場することも。公式Instagramでこまめに発信されるので、訪問前のチェックをお勧めします。
Andanteには、Wi-Fiがありません。ラップトップやスマホではなく、カフェメニューと向き合うためのカフェです。マグを片手に本を読む人も多いお店です。
FAQ
ヘルシンキで抹茶パウダーはどこで買える?
TeeMaaやMatcha Crewで抹茶パウダーと茶道具(茶筅、茶碗)を店頭販売しています。SマーケットやKマーケットといった一般的なスーパーマーケットや、アジアンスーパーでも抹茶パウダーを購入することができますが、ブランドや品質は様々です。
犬を連れて入れるカフェはある?
ヘルシンキのカフェはドッグフレンドリーな店が多く、このガイドで紹介した5軒は、いずれも犬と一緒に入店できます。ただし混雑具合や犬のサイズにもよりますので、入店前にお店の人へ一声かけると安心です。この5軒のなかで、犬の姿を最も見かけるのはAndanteです。
テイクアウトできる店は?
5軒すべてでテイクアウト可能です。
日曜に開いている抹茶スポットは?
TeeMaa、Matcha Crew、Matcha Lifeは日曜営業です。Cafe TampopoとAndanteは日曜定休です。イベントや急なお休みもあり得ますので、各店のInstagramをチェックしてください。
ヘルシンキの抹茶ラテの相場は?
だいたい6ユーロ台であることが多いです。Matcha Crewは抹茶の量を調整できるので、5〜7ユーロほどになります。
更新ログ
- 2026-06-01: 初版公開。
- 2026-09-16: 掲載5軒のレビューと各種情報を更新。
